seika2011

https://sites.google.com/a/msakunet.biz/kihon-teki-kangaekata/home/endo1995匠コメント付き映像活用による暗黙知継承支援技法

担当課題:「匠の技継承・人材育成手法の開発」では、農業の匠が持つ暗黙知の「見える化」,および形式知化を図り、技能継承・人材育成に係る情報を収集し、匠の技の継承,人材育成の実現のために手順・手法の体系化を目指しています。
そこで、まず机上と農業現場において匠の技を収集し、匠の技の「見える化」「形式知」(生産プロセス概要、作業詳細項目にノウハウ・注意点などを付加したもの)化を進め、その体系化を図りました。
体系化されたものは、主に個々のタスクレベルの形式知となっています。

(机上と農業現場において匠の技を収集)

(見える化、体系化された、匠の技のタスク主体の「形式知」集)

 次に、多くの匠の方々へのインタビュー・現地調査をおこない、それらを映像ナレッジライブラリー化しました。
 その映像内容・対話を分析すると、体験・経験の豊かな、篤農家の「匠の技」と言われているものは、単なる「形式知」では表現・構造化しきれない、いわゆる「暗黙知」を含むものであり、それは、ビジョン・動機などを駆動目標とし、経営レベル、技術レベル、作業レベル、個々の細かなタスクレベルからなる総合的な目的志向ダイナミック構造を持っていることが見えてきました。

(多くの匠の方々へのインタビュー: 「匠の技」といわれているものの構造は、ビジョン・動機などを駆動目標とし、経営レベル、
技術レベル、作業レベル、タスクレベルからなる総合的な目的志向ダイナミック構造

 知識創造組織における動態モデル(野中郁次郎氏らのモデル)の考え方では、知識は関係性の中で創られるとし、知識創造組織モデルのダイナミズムは、暗黙知と形式知のダイナミズム、駆動目標が生み出す矛盾解消のダイナミズム、場(共有された動的文脈)のダイナミズム、知識資産生成と利用のダイナミズム、企業と環境(知のエコシステム)との関係性のダイナミズム、にあるとされています。
 この考え方を応用してみると、上述ような構造をもつ「匠の技」を継承し、次世代の「人材育成」をしていくためには、「形式知(生産プロセス概要、作業詳細項目、ノウハウ・注意点など)」に加えて、対話の場と実践の場からなる 動的な文脈の場、収集された「匠の映像ナレッジライブラリー」を総合的に活用した学びの環境場を構築していくことが望まれます。

(匠の技継承、人材育成のための学びの環境場:背景図は野中郁次郎氏らの知識創造組織の動態モデルを引用)

 一方、匠から学ぶ個人(新規就農者など)にとっての基本的な課題として、「何を聞いていいのかがわからない」ということを良く耳にします。
 これは、何のどこを見て、(「知覚」したものは何か)、知覚したものをどのように「解釈」し、「評価」すればいいのか、やりたいと思ったこと(「ゴール」と「意図」)から、実際に行ない得る身体動作(「行為系列」)のどの行為をするかを特定した後で、それを「実行」するという7段階の各段階で、「匠」の「身体/認知/精神活動」との視点・観点の相違が生じていることに起因すると思われます。
 これは、単に、個々のタスクレベルのスキルを「まねる・学ぶ」ことから、自らの中に匠の世界観(総合的な目的志向ダイナミック構造)を総合的に再構築していくことへの転換が必要であることを示唆していす。

(匠の知覚、解釈、評価、ゴール、意図、行為系列、実行を自らの中に再構築、匠の目的志向ダイナミック構造を再構築)

匠のインタビューの映像ナレッジライブラリー化に加えて、「匠」の「身体/認知/精神活動」との視点・観点の相違を意識化させるためのコンテンツ教材として、「匠のコメント付きの多視点の映像コンテンツ」を作成しました。


(ヘリコプターカメラ、GPS軌跡、固定カメラ、匠のアイカメラ、キャビン頭上カメラ、追尾カメラからなる6映像の同時提示。
重要なポイントでは、右側の映像のように、匠のコメント付きの映像が拡大表示される)

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Takaya Endo,
2012/01/04 5:54
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